縄手の家~吉野の山守さんとつながる家~


都市の低炭素化の促進に関する建築物の新築工事

平成28年度地域型住宅グリーン化事業の支援による補助金の交付を受ける予定です。

縄手NAWATEの家~吉野の山守さんとつながる家~は「奈良をつなぐ木の家」です。

 

住宅設計:FRONTdesign

玄関前植栽 設計:FRONTdesign 

施工:伏見建築事務所


完成写真

玄関前、植栽を含めた外観写真です。

屋内


縄手(なわて)の家~吉野の山守さんとつながる家~は、飛鳥時代の都城の一角の敷地に建つ住宅です。

屋根はガルバリウム鋼板葺で、軒裏は化粧垂木、外壁はモルタル掻き落とし仕上げの設計です。

お施主様は吉野郡川上村の山守さんの家系です。

持山で育てられた柱の用材は約50年生の桧を使用しています。

材の伐り出しから完成まで、まさに「奈良をつなぐ木の家」をつくっていきます。


材木納材事業者 

構造材(柱 奈良県吉野郡川上村産材「桧」 梁 奈良県産材「杉」)・・・泉谷木材商店、山根製材

羽柄材(垂木、間柱 奈良県産材「桧」 奈良県産材「杉」)・・・泉谷木材商店、山根製材

内装材(天井板 奈良県産材「杉」 床 奈良県産材「杉」・・・丸岡材木店

 


お知らせ

平成29年3月11日(土曜日)、12日(日曜日)

午後1時から5時までの間、内覧会を行います。

見学をご希望の方は こちら のお問い合わせからお申し込みをください。

建築場所の所在を返信いたします。

 

内覧会は無事、終了いたしました。

遠方よりお越しくださいましたみなさまにも、ありがとうございました。

木の良さを肌で感じていただいたのではないでしょうか。

 

一日目には薪燃焼暖房機の火入れ式も行われ、屋外の気温は肌寒い二日間でも、屋内は暖がとれました。


構造見学

平成28年11月23日

「奈良をつなぐ家づくりの会」吉野の森ツアーで工事中の構造見学会を行程に組み込んでいただきました。

山での「撫育」を見て、山守さんのお話を聞いて、製材所での丁寧な加工を見てからの現場です。そして、手の仕事をお話のあと、じっくりと見ていただきました。


工事中


平成29年3月10日

玄関前に植栽を施しました。

FRONTdesign一級建築士さんと、グリーンハウスまで植樹を買いに行き、その足で造園作業です。

石は現在進行中の古民家改修現場から、運び出した床束を再利用させていただきました。

 

構図は頭の中でされて、まさに原寸で造園していく感じです。

落葉樹、常緑樹、花の咲く樹、実の生る木をうまく配していき、一日お手伝いをしました。


平成29年2月25日

外部の足場は撤去され、外観がはっきりと表れました。

土色の壁と軒裏の塗装が、落ち着いた感じで仕上がっています。

玄関ポーチの土間は、砂利の洗い出しです。骨材の大きさは一分五厘から二分のものです。

外壁の仕上げにおける施工と同様、昔からの方法で洗い出しています。


平成29月2月13日

内装は石膏ボードの上に珪藻土のクロスを張って仕上げます。

石膏ボードも調湿の効果がありますが、クロスの表面にある粒状の珪藻土が調湿の効果があるようです。

柄は無地で、少し薄い黄色がかった白色ですが、反射をしない質感が、平滑な壁を落ち着いて見せてくれます。

床と天井は杉の木なので、さらに室内の環境は良質なものだと思います。


平成29年1月31日

外壁の仕上げにかかります。

色モルタル掻き落し仕上げです。高度経済成長時代の高層ビルの左官材料として、当時の現場で、左官の職人が、簡略な施工と軽量化を提案して発案された仕上げだと聞いたことがあります。今では非常に少ない仕上げの方法ですが、当社の奈良をつなぐ木の家は全てこの仕上げです。

骨材は川砂の通し砂、セメントはフクイ製のハイゴーセメントと言う白セメント、色粉は富士商会のパーフェクチンの12番です。

色モルタルを下塗りの上に塗り付け、完全に硬化する前に、15ミリ間隔の釘打ちをした道具で掻き落します。

色合いと質感が自然の土の様に仕上がります。

セメントが強アルカリなので、外壁の劣化に対する維持管理が、不要なような気がします。

水性塗料にで仕上げると、よく付着する苔のような緑色の汚れはつきにくいと考えます。

 


平成29年1月20日

年末に丸岡材木店で選別をした、吉野杉の床板と天井板が納材され、板張りが済みました。

居間と食堂の良く見える床は、赤身の上小(節の少ない)板です。節が少ないというよりは、ほとんど節がありません。

その他の床は一等(節あり)です。節ありでも赤身(木の中心に近いところ)で、きれいな色合いです。

1階は30ミリの厚板を大引きの上に直貼りをします。2階は構造用合板の上に12ミリの板を張ります。

天井の板は、居間と食堂は上小の板です。これも赤身を選別しました。

吹抜けと2階の天井は一等の板です。

いずれも、選別をさせていただいた分、納得の良材です。


平成29年1月10日

外装の木部は塗装を施します。

垂木は吉野の杉ですが、防腐剤の混入した塗料で保護をします。


平成28年12月28日

外壁の透湿や防水の構造は、外部に面する構造躯体に透湿性のある防水紙を張ります。

その上に外装の下地との間を通気させるために、縦に胴縁と呼ぶ木材を打ち付けます。

通気層には土台水切りの空孔から、小屋裏や軒下に抜けていく空気が通ります。また、床下の換気も同時に機能し、湿度などは外部と同じような環境になり、湿度がこもらないような機能を発揮します。

その上に、金網を張る下地の荒木板を打ちつけます。

次に二層目の防水紙を張り、そして、左官材料が塗りつける金網を張り、左官下地を塗り付けます。

 

断熱性能や気密性を保ちながら、日射を取り入れたり、遮蔽をしたりしながら内部環境を整えるのと同時に、外部には降雨や湿度などの自然環境に耐えうる、長持ちするための措置を施します。


平成28年12月15日

二酸化炭素の排出量を削減するためには、消費熱量を抑えることを住宅にも求められています。

夏は日射を遮蔽することや、風通しを考慮した設計により、冷房機器の消費熱量をおさえます。

冬は日射を取り入れ、快適な室温に保たれるように設計されています。

その熱の損失や、住環境が損なわれないためには、断熱材の使用は切り離せません。

 現在、低炭素認定住宅においての施工要領の一つに、断熱材の性能と施工精度が求められています。

断熱材は高性能グラスウールを採用しています。さらに、気密性を高める施工は、その技術者講習を修了した大工さんたちが施しています。

 特に、天井面との取り合い、あるいは、床面との取り合い、そして、気流が間仕切りの間で漏れないように注意をしながらの施工です。

 開口部の建具と木枠との間にできるわずかな隙間も、断熱性能がなければ熱の損失と、結露の原因です。

そこもしっかりと、断熱材の充填と気密性を高める幕で覆います。


平成28年12月1日

居間、食堂の床板と1階の天井板は吉野杉の赤身で上小を選別させていただき、加工をしてもらいます。

その他は赤勝ちの一等ですが、ほとんどが赤身のものを選ばせていただきます。

まずは下見で丸岡材木店へ来ました。

これから乾燥機器(中温)に入れてもらって、乾燥後に再び選別をさせてもらいます。


平成28年11月28日

大屋根には薪ストーブの煙突が通る開口部があります。

棟包みは小屋裏の自然換気での通気を機能させる部材です。


平成28年11月21日

屋根はガルバリウム鋼板立ハゼ葺きです。

今回も「手ガチャ」と呼ばれるハゼ折り具での鋼板葺きです。


平成28年11月14日

上棟式を執り行いました。

略儀ではありますが、祝詞の奏上、清め払い、玉串奉奠。

いつもながら、身の引き締まるおもいです。

お施主様の父上様は山守さん(木を育てる人)です。

その育てられた木を柱に使っています。

立木の状態で枝打ちなどの施業の結果を、木の肌を見ながらご教示いただきました。

非常に勉強になりました。

平成28年11月7日

継ぎ手(長手方向に木と木をつないでいるところ)と仕口(木と木を直角に組み合わせているところ)は構造用の金物で緊結をする設計です。

引き抜きの応力により、耐力に合わせた金物を選択していきます。

応力ががかからないところは、込み栓、車知栓や鼻栓と呼ばれる木の栓で抜けないようにしています。

 

下の画像は

腰入れ鎌継ぎ両目違い継手こしいれかまつぎりょうめちがいつぎて
追っ掛込み栓継ぎ手おっかけこみせんつぎて
長臍差込栓打ながほぞさしこみせんうち 
長臍差込栓打と追っ掛込み栓継ぎ手

です。

 



平成28年11月4日

材料の搬入が終わり、建て方です。

運搬も組み立ても墨付けと刻みをした大工連中が皆で力を合わせて行います。